国崎町 海女さんの郷土食・お芋の「にっきりぼし」を知って欲しい!
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にっきりぼしって???
きっと鳥羽の人でも聞いたことがないかもしれません。ようは干し芋のことで、志摩地方で有名なきんこ芋ならご存知の方も多いのではないでしょうか。どちらも、甘さがあってもっちりとボリューミーな干し芋。ではきんこ芋と国崎町のにっきりぼしの違いは?
にっきりぼしの特徴を挙げるとしたら、
1.超希少種の兼六芋を使用
2.煮切り干し製法という特殊な作り方
3.海女さんが作っている
この干し芋を、地元の呼び名の「にっきりぼし」という商品名で、国崎町ブランドの干し芋として売り出そう!と鳥羽市と国崎町の生産者世古さんご夫婦が製作に取り組んできました。生産から販売までを一通り見て参りましたので、今回はその様子をご紹介します。
1.超希少種の兼六芋
兼六芋は作付けが難しく全国的にも珍しい種類で、よく見るとゴツゴツとしたかぼちゃのような筋の入った形をしています。そのしっとり滑らかでシルキーな食感とホッとするようなふんわりした甘さに虜になる人が続出しています。干した時に濃いオレンジ色になるのも特徴的ですね。にっきりぼしを見て干し柿と間違う人もいるほどどか。この超希少種のレアお芋、、、試してみたいと思いませんか。www
2.煮切り干し製法という特殊な作り方
普通の干し芋は蒸し器で蒸かしますが、国崎町は文字通り大鍋で水からじっくり煮ます。甘い煮汁が溢れて鍋がどんどん染まっていくのだそう。煮終わった直後のお芋は黄金色です。味見しましたがしっとりほくほくジューシーでもう最高でした…。煮切り干しがなまって「にっきりぼし」と呼ぶんですね。
3.海女さんが作っている
海女さんが干し芋を作るってどういうこと?」と思いますが、海女さんは天気都合の仕事なので朝に漁に行けないと分かったら、別の仕事をしないといけません。国崎町の海女さんは海女が休みの日や海女に行ってから余った時間を使ってにっきりぼしを作っています。休む暇が無いんです。www
ずいぶん手間のかかる作業で、天日干しで5〜6日、室内に取り込んで1〜2日寝かせるのを交互に行い、干しあがりに20日間ほどかかります。この寝かせている間に旨みがアップするのだとか。もちろん、雨が降ったら取り込まないといけません。そうして手間をかけて出来たにっきりぼしは、オレンジ色がとっても鮮やか。一本をそのまま丸干しなので肉厚でもっちりとした食感を楽しめます。
もともとは海女さんの保存食で、日持ちする干し芋は重宝されていました。海女さんは体力仕事ですから、腹持ちも良く手軽に糖分チャージのできるにっきりぼしは、国崎町の海女さんの力の源なのかもしれませんね。海女の作っている干し芋なんて、全国どこにもないんじゃないでしょうか。もちろん世古さんの奥様は現役の海女さんです。
現役海女である生産者の世古さん
テストマーケティングin東京都庁
今回、世古さんご夫婦のもとで取材させていただき、にっきりぼしの作り方をイラストにまとめました。製作過程わかるでしょうか。
パッケージも新しく作り、国崎の海女さんの作ったにっきりぼしは東京都庁で行われた伊勢志摩物産展に並びました。
生産の現場から取材していたので、売り場に並んだにっきりぼしを見てドキドキ。
イラストパネルも並べて密かにPR。
開店後からお客さんはどんどん増えて現場は大盛況。
それからはどんどんお手に取ってくださる方が増え、売れ行きは上場でした。それでもパッケージやPRの仕方はまだまだ改善の余地がありそうです。
あとがき
今回、生産から売り場までの工程を見ることができて、人の手で手間暇かけてつくられているものが誰かの手に渡る喜びを知れたと同時に、商品の魅力をきちんと消費者に伝えることの難しさと大切さを身に染みて感じました。
国崎町のにっきりぼしは海女さんの長年の知恵と工夫が詰まった逸品です。海女の合間にできることは?保存のきく食べ物は?そうやって海女の生活に沿って考えられ、自分たちに必要なものは自分たちで生み出す。自律した海女さんの生活はやっぱりかっこいい。
にっきりぼしの魅力は伝わったでしょうか?
国崎町のにっきりぼし、みなさんも見かけたらぜひお手に取ってみてください。食べながら海女の暮らしを想像してもらえたら嬉しいです。
世古憲一さん、世古ふじえさんご夫婦