鳥羽なかまちで発見!謎の暗号?
皇學館大学記者
鳥羽3丁目から4丁目までの雰囲気のある町並みは、「鳥羽なかまち」と呼ばれています。ここを歩くと、軒先に旗の掛かった家が何軒かあることに気づきます。一つひとつのデザインが違うため、旗を追ってどんどん通りを歩いてしまいます。
実はこの旗それぞれにお店のたくさんの歴史がつまっています。これらの歴史に加え、旗の製作にあたっての苦労や旗の活躍についてお伝えします。
歴史のつまった屋号旗
この軒先にかかる紺色の旗をよく見ると、白色でさまざまな記号が描かれています。この暗号のようなデザインの旗は、屋号旗と呼ばれるもので、商店または商店だった建物の軒先に掛けられています。
これらの旗は、かつて付けられていた屋号を発掘したり、家紋を採り入れたりしてデザインを決めました。屋号とは、そのお店や家の特徴を言い表した称号のことで、簡単に言うと、古くから呼び名のことです。
生まれも育ちも鳥羽なかまちの、海童工房「魚寅」の代表である杉田公司さんによると、杉田さんが子供のころ、おじいさんやおばあさんは近所の人たちとお互い屋号で呼び合い、親密なコミュニティをつくっていたそうです。今の私には屋号で呼び合うという習慣が想像できませんが、今もそうであるようにここ「鳥羽なかまち」はそれだけ人とひととの距離が近いあたたかい地域なのだと思いました。
屋号旗が鳥羽なかまちに登場するまで
屋号旗のデザインは、映像クリエイターの佐藤創さんが手掛けました。佐藤さんはお店の昔の伝票やレシートを元にそれぞれの屋号を忠実に再現しました。これら最初の屋号の登場をきっかけに、屋号がなかったお店の皆さんからも自分たちも屋号が欲しいとリクエストがあった結果、新しくデザインされたものもあります。
また、シンプルな屋号もあれば、とても細かい模様の屋号もあり、特に細かい屋号については遜色のないように復元するのに苦労したそうです。型紙を取り、細かいものについてはつり糸などを駆使してデザインを型紙上に再現しました。杉田さんによると、屋号旗は現在30種類ほど設置されています。とても細かく時間のかかる作業であり、それを30種類も準備したというのはとても大変な事なのだと感じました。最初は住民の皆さん全員が協力的だったわけではなかったそうです。設置していくうちに愛着が湧き、今では日光で傷んだ屋号旗を直してほしいという声も出ているそうです。今後、佐藤さんは屋号旗を紫外線に強い麻で作り直すことを考えています。新しくなったら、ぜひ見に行きたいと思いました。
屋号旗の活躍は続く
屋号旗は鳥羽なかまちの統一感やブランド感を表現するだけでなく、なかまちマーケットのスタンプラリーやミキモト真珠島主催の謎解きツアーなどのイベントでも使われています。
屋号旗に描かれた暗号を読み解くことで、一つひとつのお店の歴史を知るきっかけにもなります。みなさんも鳥羽なかまちに来たら、ぜひ屋号旗にも注目しながら歩いてみてください。あなたのお気に入りの屋号旗はどれでしょうか。